図書館の今後についての共同声明

平成17年11月8日
社団法人日本児童文学者協会 会長  砂田 弘    

社団法人日本児童文芸家協会 理事長 天沼 春樹  

社団法人日本推理作家協会   理事長 大沢 在昌  

社団法人日本文藝家協会     理事長 黒井 千次  

社団法人日本ペンクラブ     会長  井上 ひさし


 現在、公共図書館が置かれた状態は、必ずしも良好なものではありません。地方自治体の財政悪化によって、図書館の予算が削られる傾向にあります。また専門職としての図書館司書の採用が少なく、他の部門から回された図書の知識に乏しい職員が利用者に対応する場合も少なくありません。しかし長く続く経済停滞のために、図書を自分で購入せずに図書館に頼る利用者は増加しています。生涯学習のための図書館の責務も強まっているといえるでしょう。資料購入費を増やすとともに、利用者の相談に応じる専門知識をもった司書の増員が望まれます。

 一方、長びく出版不況で、著作者および出版社の置かれた状況も厳しいものになりつつあります。図書館予算の削減は、本来図書館に置かれるべき良質の図書の販売を減少させ、結果としては、文芸文化そのものが危機にさらされているというべきでしょう。文芸文化を護るという観点から、ヨーロッパなどの先進諸国では、すでに図書館での無料貸出に対して、公貸権(Public Lending Right)が設定され、著作者に対して国家基金による補償金が支払われています。先進国を自負する日本においても、著作者等に対して何らかの補償金制度の実現が検討されるべき時期に来ていると思われます。

 図書館の衰退は、国民の知る権利、学ぶ権利を奪い、またこの国に固有の文芸文化の衰退をもたらします。その点では、図書館関係者と文芸著作者は共通の認識をもっていると考えております。このような状況の中で、わたしたちは国と地方公共団体に対し、次のような要望を共同声明として表明します。

@ 図書館予算の増大。
A 専門知識をもつ図書館司書の増員。
B 国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立。

 この三つの要求の実現に向けて、わたしたちは今後も共同で努力を続けていきたいと考えています。